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2010 New Players

2010年4月、固い意志を持ってヤマハ発動機ジュビロの門を叩いた3名の新人選手たちをご紹介します。

2010 New Players

2010年4月、固い意志を持ってヤマハ発動機ジュビロの門を叩いた3名の新人選手たちをご紹介します。神奈川県、愛知県、沖縄県と出身地こそ違いますが、高校と大学の貴重な学生時代に楕円のボールを一生懸命に追いかけてきた気持ちは同じ。明日のヤマハ発動機ジュビロを担う若き勇者たちのインタビューをお楽しみください。

‐‐ まずは自己紹介をお願いします

伊東● 愛知学院大学出身の伊東晋吾(いとうしんご)です。ポジションはウイング、自分の持ち味は足。足は誰にも負けません。

長野● 流通経済大学出身のプロップ、長野正和(ながのまさかず)です。愛称は「ガンツ」。大学入学当時、「GANTZ(ガンツ)」という漫画があって、そこに登場するキャラクターに似ていることが由来です。スクラムは自信があります。

屋宜● 屋宜ベンジャミン・レイ(やぎべんじゃみんれい)です。流通経済大学出身、愛称はベンちゃん、もしくはベン。ポジションはフルバックとウイングで、体幹の強さとスピードが強みです。

‐‐ ではさっそく、春シーズンを終えた感想をお願いします

屋宜● 入社して率直に思ったことは、仕事をしてからの練習がどれだけ大変かと、身を持って感じました。けが人だった僕はリハビリからスタート。復帰まで1ヶ月程かかりましたが、6月のサントリーとの合同練習とトヨタとの練習試合に出場できました。大学との違いを感じたところは、社会人のコンタクトプレーの強さと、一人ひとりのラグビーに向き合う姿勢ですね。

長野● 自分は昨年11月、大学の公式戦にて負傷したこともあって、春シーズンはリハビリ組でした。でも、ベンが言ったように、仕事をしてからの大変さを痛感したのと、どんな練習も一つ一つのことに集中していく自主性に、社会人のすごさを感じました。

伊東● 僕は、関東の大学と違い東海学生リーグという、認知度的にマイナーなところから来たので、初めはすごく不安だらけでした。やってみてコンタクトも大学と全然違い、慣れるまでどうしてもみんなより時間がかかるかもしれません。でも、入団したからには同じ土俵と割り切り、強さを持ってチームの勝利に貢献したい。春シーズンは、最後の最後でけがをしてしまいましたが、早い段階で体のケアややけがに対する意識を高く持つことができたとプラスに捉え、これから頑張りたいと思います。

‐‐ 大学と社会人で感じた差を埋めるため、自分に何が必要だと感じていますか

屋宜● スタートして3ヶ月。夏の間にチーム内のルールをどれだけ早く理解するかが、自分のターゲットになってくると思います。その為にも、普段から先頭を切るような気持ちで積極的に練習へ参加することで多くのことを吸収し、ラグビーに対する考えの差を克服していきたい。体の強さは自信があるので、強みをさらに高めていき、同時に社会人の激しいコンタクトプレーに慣れ、ウェイトや食事で体を大きくすることにも注力したいです。

‐‐ 体幹の強さを感じたのは、いつ頃でしょうか

屋宜● 高校の頃はさほど意識していませんでしたが、周りに「お前は強いよ」と言われ、そこで「自分、強い?」と目覚め、強いところを鍛えればもっと強くできるのではないかと、大学に入ってから特に体幹を意識したトレーニングも力を入れ始めました。

‐‐ 長野選手、伊東選手は、大学と社会人で感じた差を埋めるために意識していきたいことは

長野● 僕は場面をイメージすることでしょうか。仕事と練習の間に20分から30分ぐらい、時間的な余裕があるので、練習メニューを頭の中で反復し、アップの時から、そして始まった時に全力を出せるよう体を作っておく、というのを今後、取り組んでいけたらと思います。

伊東● 入ることが夢だったトップリーグの舞台に自分がいることはすごい、と3ヶ月経ちようやく実感しています。今までテレビで見ていたような方達と一緒に練習をやっているのがまだ夢ではないか、と思うこともあります。時間はかかると思いますが、一歩一歩先輩達に近づけるよう常に意識し、レギュラーを掴み取れるよう狙っていきたいです。

‐‐ 数多いスポーツの中で、ここまで続けてきたラグビーと出会ったきっかけは

屋宜● 中学は野球をやっていました。野球と違うスポーツをしたいと思っていたので高校入学後、1ヶ月ぐらいサッカー部に入りました。でも何か物足りなくて。当時、サッカーとラグビーはグラウンドが隣同士で練習をしていて、ラグビーのぶつかり合いやでかい体を横で見ながら、もともと格闘技に興味があり、その頃のラグビー部顧問、安村光滋先生に声をかけてもらっていたことで、先生の「ラグビー部、入ろうや」の一言が決めセリフになったかもしれません。
そうやって出会ったラグビーでしたが、高校の練習はちょっとしんどく、大学行ってまでやるもんかと。ところが、自分の中で卒業後の進路が明確でなかった時、同じ高校の先輩が流通経済大に行っていて、そこを一度受けてみないかと言われ。それで大学でもラグビーを続けることになりました。大学の4年間でラグビーはもういいかなと思っていた時、ヤマハの採用担当の方から声をかけていただき、この際ならいけるところまで行ってみよう。その進行形で今、ここにいます。

‐‐ 高校の練習は厳しかったんですね

屋宜● 母校の県立石川高校は、自分が1年生の時、30人近い部員がいましたけど3年生になった時は最低で13人に減ってしまい、他の部から選手を借り公式戦に出ていた状態でした。高校3年間の花園県決勝は石川対名護でしたが今、母校は決勝にも進めず、僕らの時代と比べ、部員数の状況はあまり良くないと聞いています。
毎日、やめてやる、やめてやると思った高校3年間でしたが、ハードな練習であればあるほど、終わった時の達成感であり、後からついてくるものが大きかった。ラグビーはメンタルスポーツと言われ、高校生にメンタルの強さや継続を求めるのは難しいことかもしれませんが、乗り越え初めて、ああよかったという実感が湧きあがってきた。今思えば、あっという間の高校ラグビーでした。

普及活動でも活躍する長野選手

長野● ラグビーと出会ったのは日本大学付属中学校。身長が高くて、顧問の先生に「まあ、やってみないか」、みたいに誘われたことがきっかけです。中学の3年間をやり遂げ、附属の高校へそのまま進み続けるかどうしようか迷っていました。高校といえば花園。(全国高等学校大会の会場が近鉄花園ラグビー場のため、ラグビー関係者は同大会を“花園”と呼ぶことが多い)自分の学校は花園へあと少しで届きそうな強さがあって、そういうところに挑戦したいなと。顧問の先生も良い先生で、チームの強さ、部員の人間性、ラグビーの環境面に惹かれたことで高校も続けようと。
高校までと思っていたラグビーは高3の時、春の大会で全然ダメだと言われていたチームが、秋の花園予選は決勝までいきました。桐蔭に負けましたがその時、強い相手とまたやりたいと思い、大学を視野に入れ、大学でもラグビーを続けることにしました。
1年、2年経つと自信はついてきましたが、今度こそ、ラグビーは大学までと思っていたところへ、ヤマハの採用担当の方に話しをいただき、新たな道が見えたというか。自分なんかでやっていけるのか、という不安は少しありましたが、強いところで挑戦したいという思いが徐々に芽生え、よし、やってみようと思い決断しました。

伊東● 中学は野球部でしたが、野球部の顧問の先生がラグビーをやっていて、その先生に「お前、ラグビーやったら」と言われたのがラグビーを意識したきっかけでした。どうせやるなら、愛知県で一番強い高校へ行こうと思いましたが、その時の自分に適した高校を探してもらい、栄徳に行きました。
ラグビーは高校までと思っていましたが、学校の先生になりたいと思い、体育の教員免許を取得できるコースが新しくできた愛知学院大学へ進みました。ラグビーは大学で終わりにしようと考えていましたが、大学3年生で東海学生選抜の一員として試合に出た時、社会人チームの監督さんから声をかけていただき、その日をきっかけに出来ることなら上のリーグを目指そうと意識してきました。遥か夢のトップリーグに少し近づいた気がして、チャンスあればと思っていた時、ヤマハのトライアウトの話をいただきました。受けてみたところ、良い返事をいただき、今に至ります。

‐‐ そんな3人、お互いの第一印象を教えてください

屋宜● ガンツは、今よりもう少しサイズが小さかったのですが、自分からしたら初めて見るサイズ。高校でこんな選手はいなかったので太い足と貫禄に圧倒されました。でも、仲良くなったら意外とお茶目なキャラクターを持つ選手。
しんごは、4年生の夏の菅平。坊主でいかつかったのですが、礼儀が正しく真面目そうな印象でした。

遠州大名行列に参加した屋宜選手と伊東選手

長野● ベンは本当に外国人選手だと思っていました(笑)。ウイングと聞いていたので相当、足が速いんだろうなと。実際に見て、速くて強かった第一印象でしたが、話すと、気さくでコミュニケーションも取りやすい選手でした。
しんごは、ベンと一緒に夏の菅平で初めて会いました。今と違い坊主で、最初はFWのフランカーかと思いました。

伊東● テレビで見ていた流経大の選手たちは怖いイメージがありました。プロップに坊主の選手が多くて、ガンツを見た時は最初、怖くて(笑)。自分の大学にガンツのようなサイズの選手はいなかったので、あのサイズがプロップ! とびっくりしました。
ベンはカッコイイなと思いました。3人とも初対面の時は、全然しゃべらなかったような(笑)。

屋宜● 流経大の同期に栄徳高校出身の選手がいたので、その話でグッと距離が縮まった記憶があります。でも、この2人はもともと人見知りだと思うので、最初はお互いの様子を見合っていたような気がします。だから、僕が真ん中に入ってちょっと聞いてみようか、なんて。入社は違いますが、同い年の大ちゃん(野中大輔選手)とかみんなで食事に行ったり、寮でも一緒にいることが多いです。

‐‐ ここで、皆さんが思うラグビーの魅力とは

伊東● 個人的に、ウイングというトライを取るポジションなので、トライの喜びは何事にも変えがたいものがあります。でも、トライは自分だけではなく、フォワードがボールを出し、ハーフが捌き、バックスの選手が展開し最後に僕のことへ回ってくる。そこまでの過程が大事で、自分のトライではなく、15人で繋いだことを常に頭におきプレーしています。トライひとつを見ても、そこには凝縮されたラグビーの魅力が詰まっていると思います。

長野● ラグビーは、小さい人がタックルで、でかい人を倒すなど、大きかったり小さかったり、足が速かったり、いろいろな体形の人がいていろんな考え方や個性があって、それがひとつにまとまってトライであり、勝利といった目標を目指していく。そこが魅力のひとつかなと思います。

屋宜● 観客視点からは、コンタクトもあれば、足の速い人が一気に抜けていくような、ラグビーを知らない人がラグビーを初めて見ても、何だ、このスポーツは? と、一瞬でも人を惹きつける魅力を持つスポーツだと思います。プレーヤーとしては、しんごが言ったよう、トライや他の選手の頑張り、試合に勝った時はやっている方も鳥肌が立ちます。キツイことをやってきたお互いの存在や支えでしょうか、特に勝った時の喜びは倍に膨れ上がったりしますので。でも、魅力を一言で表すのは今、難しいので、次までに考えておきます。

‐‐ 入社前と入社後、チームの印象は変わりましたか

屋宜● 自分は、ラグビーどうこうの前に、どんな先輩がいるんだろうって、「この先輩、ちょっと怖そう」とか言って、入社前からラグビー部ホームページのプロフィールをチェックしていました。でも、厳しそうに見えた先輩が実際は優しかったりして、想像していた上下関係ではなく、さすが社会人と思う大人の対応でここは、大学との違いを感じました。

‐‐ 笠原先輩(流通経済大、新入団選手が1年の時4年生)は厳しい人でしたか

屋宜● 笠原さんが4年生の時、僕らは1年生でしたが、寮長で厳しいことを言わざるをえない立場でした。1年生からは恐れられていた先輩でしたが、自分は部屋が隣だったので違った面も知っていました。寮長としての厳しさ以外、私生活では本当に面倒を見てもらった素晴らしい先輩です。昨年、ヤマハのニュースが出た時も、よく電話で「一生懸命、やっていこうな」と言われていたので、支えられて安心して入社できました。

長野● 笠原先輩にはベンも話したよう、何度も電話をかけてきてくれて、すごくいい先輩です。いろいろアドバイスもくれます。実習で工場へ行った時、笠原さんが工場内を歩くたびに「笠原くん、笠原くん」と、職場の人たちから声をかけられていて、改めて誰にでも愛される魅力を持っている先輩なのだと思いました。笠原さんのような好かれる人になってみたいなというのはあります。

‐‐ 社会人ラグビーでやっていけるだろうかという不安は

屋宜● 大学でスカウトされることは、力を見込まれた上で入ってくる。だから、プレー面に関して、入るまでにどうしようかという心配はしなくていいと思います。入ってからの頑張りが勝負。どれだけ自分がしっかりできるのか、が大切ですね。

伊東● 僕は、大学のネームバリューというのか、マイナーな地区からトップリーグにいけるのか、できるのか、という恐怖心がありました。それを、河本さん(明哲選手。09年入団。龍谷大出身)に相談した時、「出身大学は関係ない。入ってからの頑張りが一番大切」と言ってもらえ、自分の中にあったモヤモヤ感が少し楽になったことがありました。スタートはみんな一緒、大学が有名でなくても自分の頑張り次第だと思います。

‐‐ 夏に向けた目標とファンへのメッセージをお願いします

屋宜● 夏合宿で組まれている練習試合にスタートから出場できるように、まずは合宿に向けた練習がハードになる中で、自分がどれだけ出来ているか。これがキーになると思います。一日、一日を大切に取り組んでいきたい。応援していただいている沖縄の方々に、ラグビーを知ってもらい、少しでも普及に関わっていけるよう、また新しい土地、磐田においても、自分の存在を早く知ってもらい、たくさんの人に応援していただけるよう頑張ります。最終目標は9月に開幕するトップリーグにスタメン出場です。頑張っていきます。

長野● 夏の目標は第一にけがを治すこと。そして復帰の時点ですぐに試合出場できる即戦力となれるよう、日々トレーニングをしていきたいと思います。
また、僕自身は、地元の方々ともっとコミュニケーションを取り、自分の存在を知ってもらえるよう、アピールしていきたいです。普及で訪れる学校や、スクールの指導サポートで見るみんなの笑顔や元気から自分も頑張らないと、と思います。子供たちが大人になった時、今以上にラグビーが普及しているような、ラグビーの普及活動にも力を入れていければと思っています。

伊東● 夏の目標はけがを治し完全復帰。夏合宿ではひとつでも多くの試合に出場する。そして、トップリーグに自分の名を連ねたいと思います。後は、地域の人々や会社の人々に愛されるチームを意識し、それを継続することで、早く名前と顔を覚えて貰えるように頑張ります。

屋宜・長野・伊東● これからも応援よろしくお願いします!

三人の活躍に期待!!

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