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Vol.5:中園 真司選手

矢富勇毅選手が、磐田市で活躍する様々な方々をお迎えしてお話をするコーナーです。

矢富笑店 Vol.5:中園 真司選手

中園 真司 なかぞの しんじ

1986年生まれ。福岡県のりんどうヤングラガーズに小学1年生から入団し、ラグビーに親しむ。佐賀工業高へ進学し、関東学院大では第43回大学選手権にてウイングとして活躍し、チームの優勝に貢献する。2008年度にヤマハ発動機ジュビロに入団。愛称は「シンジ」。

 

辛いけれど、今シーズンを振り返る

日本代表めざします 中園選手日本代表めざします 中園選手

矢富●読者の皆様、最終回ではありませんからね、まだまだ「矢富笑店」やりますので(笑)。さて、今日はシンジに来てもらいました。早速なんやけど、今シーズンを振り返りましょうか?

中園●今シーズン・・・今シーズンは、やっぱり最後の試合になってしまったコーラ戦が全てのような。あの試合は、今の自分たちの状態がそのまま出た試合。シーズン全体を見ても、前半節は良かったが、シーズンの後半は良い試合ができなかった。特に試合の後半に修正ができない試合が続き、そういう試合を続けてやってしまった。それが、最後の試合でも・・・。

矢富●俺は神戸製鋼戦が一番印象に残っている。自分たちが自信をつけた試合。あの勝利で、本当に自分たちが優勝を狙える、上位に行けると手ごたえを掴んだ試合だった。

中園●僕はあの試合、全然よくなくて(笑)。

矢富●俺はマンオブザマッチをもらった試合(笑)。先制した試合は勝った試合が多かったな。

中園●あの試合が前半節の最後の試合で、勝って5位に順位が上がって、チームが良い流れになった。その意味で大きい試合でしたね。

矢富●神戸製鋼戦の前のリコー戦が良かったのも影響あるよな。みんなが勢いに乗っていた。自分たちのやっていることが結果につながり、自信をつけ始めていた時期やったな。シンジとしては、最終節のNEC戦?途中出場で2トライは凄い。

中園●いや、そんなに・・・。まさか、あの場面で出るとは思わなかったので、焦ったね(笑)。しかも怪我をしたのがタツさん(大田尾副将・スタンドオフ)だったし・・・。

矢富●俺は焦らなかったけれど、バックス全体にタツさんがいなくなったことで焦りの空気はあったな。どんな心境だった?

中園●0-19の場面だったし、とにかく流れを変えようと。

矢富●シンジがしっかりとトライを取りきってくれたのは有難かった。特に最後のトライ、あれは凄かった。ベストトライちゃう?

中園●確かにそうですけれど・・・チームが負けていますからね。それに最初のトライはトライを取る形を作ってもらった上で、トライをしたまでで・・・。

矢富●かっこええなぁ、自分の仕事をしたまでです、って感じ!

中園●僕的にはリコー戦のトライがベスト。

矢富●3トライしたよね?

中園●3トライ取ったので、「よし、今日はマンオブザマッチだ!」と思ったら、ジョシュ(レヴィ選手)が4トライ取ってマンオブザマッチ(笑)。3トライの中で、最初のトライが今シーズンのベストトライかな?タツさんから内側でボールをもらって、抜いて抜いて抜いてトライ。

矢富●覚えている。トライ取った後に、シンジに駆け寄ったら、「やった、やった、やった」と言っていた記憶がある。

中園●矢富さんのベストトライは?

矢富●リコー戦・・・と言いたいところだが、やっぱり神戸製鋼戦。あの試合を決定づけたことが良かった。あのトライで神戸製鋼の選手たちの気持ちも折れたと思う。一気に突き放すことができたし、勝ち点5を取ったトライになった。形で取れたトライではなかったけれど、取った場面が良かった。相手の出鼻をくじくトライ、これがラグビーでは重要やね。

中園選手が自ら選ぶベストトライ中園選手が自ら選ぶベストトライ

ウイングの使命とは

矢富●ウイングは絶対にトライせなアカンというシーンで決めないといけないから、余計にプレッシャーがあるんと違う?

中園●ありますよ、躓いてしまって相手に捕まったり、タッチラインを踏んでしまったり・・・。仲間に「ドンマイ」と言われると、もっと落ちます(笑)。

矢富●どんな心掛けで試合に出ている?

中園●どんな場面でも、自分で持っていくように心掛けています。

矢富●ウイング=トライ、みたいな。

中園●ウイングがトライ取れたら、それはチームが機能している証拠だと思います。

矢富●確かに!強いチームはウイングがトライ取るよな。ウイングというか、バックスリー(ウイングとフルバック)が。チームが機能しているからこそ、バックスリーがフィニッシュに持っていけるっていうのは、確かにそうやと思う。

お互いの評価

矢富選手が絶賛の中園選手のトライ矢富選手が絶賛の中園選手のトライ

矢富●やっぱりNEC戦のシンジのトライ(後半36分に相手選手にタックルされながらも、引きずって、倒れずにトライを決めた)。シンジの粘り腰があって、尚且つキレがあるところがスゴイ。普通の粘り腰があるタイプの選手は、スピードが遅い選手が多いのに、シンジはスピードが落ちずにタックルを受けても粘り腰で倒れない。小さい体なのに一歩でも前に出ようとする強さ、小さいサイズでも大きな選手を倒すタックル、体の小さい選手たちに勇気を与えたと思う。

中園●いやいや、まだまだです。

矢富●それから、リーダーシップ。試合中もよく声を出してくれる。この後ろからの声はスクラムハーフとしては動きやすくなるので有難い。でも、興奮していると早口の九州弁になるので、聞き取りづらい時もあるけれど(笑)。

中園●先ほども言いましたが、矢富さんのスゴイところは、なんでココで抜ける?というプレー。今までのスクラムハーフはボールをさばくことを得意とする選手が多いのですが、矢富さんは自分からボールを持って走ることができ、トライまでしてしまう。矢富さんだけに見える道みたいなものがあるんですか?

矢富●うん、俺は自分で“ビクトリーロード”を勝手に名づけているけれど、俺だけに見えるコースがある。それ以上は企業秘密(笑)。せやけど、ホンマ、スゴイ!と思ったウイングの選手はNECの首藤(甲子郎・早稲田大卒)、釜石シーウェイブスの菅野(朋幸・早稲田大卒)、そして中園真司。捕まっても前に出て、トライを取りきる、トップリーグでも珍しいタイプのウイングやと思う。

神戸製鋼戦で見せたビクトリーロード?神戸製鋼戦で見せたビクトリーロード?

2011年ラグビーワールドカップに向けて

矢富●シンジは正直なところ、日本代表は意識している?

中園●はい、日本代表に入りたいですね。でも、まだまだ、程遠い・・・

矢富●どういう所が?

中園●ディフェンス、世界と戦うってことはディフェンスができるかどうか。今のウイングってデカイですよね?

矢富●そうやね、全体的な傾向として。でも、大きくないけれど、日本代表の小野澤さんおるやん。小野澤さんの何がスゴイって、倒れない。トップリーグで日本のチーム相手に倒れないプレーを、国際試合でも倒れずに、同じようにプレーしている。ここがスゴイ!

中園●小野澤さんは波がなくて、常に高いパフォーマンスを毎試合できるところが凄いと思っています。コンスタントに力を発揮することって難しいですよね?

矢富●ホンマにそう。シンジもトップリーグで出来たプレーが国際試合でも出来るか、そのあたりがポイントかもしれないな。でも、子供が『日本代表になりたい』と言っているのは夢を語っているに過ぎないけれど、トッププレーヤーのシンジが日本代表を目指すという明確な目標を持っていることは、実現に向けて、もう少しのところに来ているからこそ言えるんだと思う。

中園●やはり、選手として、大きな目標を持って取り組まないと、上手くなれないと思います。矢富さんはどんな年に?

矢富●2010年に関しては、自分との勝負。ワールドカップがどうの、日本代表がどうのではなくて、自分と向き合って、自分と戦う。もちろん、ワールドカップに出たいけれど、自分に負けてはダメ。敵は自分、そう思うことでシンドイことからも逃げないようにしたい。確か、サッカーの三浦和良さんが『相手はいても、敵は自分』という言葉を言っていたと思うけれど、まさに、その言葉どおりだと思う。

 敵は自分にあり! 矢富選手敵は自分にあり! 矢富選手

オフは何する?

最終節のNEC戦最終節のNEC戦

矢富●シンジはオフに何する?

中園●肉体改造とゴルフ。ちょっと太ってきてしまったので。

矢富●俺はゴルフは諦めた。石川遼くんにはなれへん(笑)。なので、ボーリング。ROUND1(ラウンドワン)の常連やで。

中園●僕もボーリングは得意ですよ!チームイベントで1位になったこともありますよ、覚えていますか?

矢富●そやったっけ?やっぱり、今年の目標はシンジにボーリングで勝つ!に変更するわ(笑)  

対談を終えて

中園選手と共に中園選手と共に

ホンマ、シンジは大学時代の印象のまま。大学時代はとにかく「中園を止めろ!」が至上命令でした。
トップリーグ最終節のNEC戦で見せたシンジのトライ、ああいうトライはお客さんとしても見ていて面白いはず。新年度も日本ラグビーを盛り上げていきたいと思います。

今年もよろしくお願いします!

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