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第10回:前田選手、元旦日の出ツーリング

笠原雄太選手を中心とした、自転車好きな選手たちによるツーリングレポートです。

笠原雄太の自転車ライフ 第10回:前田選手、元旦日の出ツーリング

前田航平 まえだ こうへい

早稲田大学時代は矢富選手や五郎丸選手らと第42回大学選手権にて優勝し、第43回日本選手権ではトップリーグの雄、トヨタ自動車ヴェルブリッツを28-24で破り快挙を成し遂げた名プロップ。サントリーサンゴリアス、サントリーフーズを経て2011年春にヤマハ発動機ジュビロ入り。ニックネームは「マエちゃん」。

・前田選手から 

 笠原隊長!今回の「元旦日の出ツアー」の状況を私、前田航平が報告いたします。2011年1月1日午前5時、気温1.8度、北西の風7メートル、湿度71%(テレビのデータ放送調べ)路面状況良、上空に雲が散見されますが予報によればこの雲も晴れてくる模様。その状況下、新年初のツーリングを遂行しました!下記のレポートをご覧ください。

 5時10分、空もまだ暗く、月齢26日の月に見守られ寮を出発した。

まだ、真っ暗でした・・・

 当初、見付天神で初詣を済ますため、国道1号線を東へ進んでいたが、磐田に来て半年、正確な場所を覚えておらず引き返すことにした。後にこの判断に助けられることになるとは予想もせずに・・・

 目的地「田村将軍神社」は縁結び、勝運の神様征夷大将軍坂上田村村麻呂公が祭られており、小高い丘にあるため眼下には浜松磐田を一望でき、絶好の日の出観測スポットとなっているそうな。

 寮から浜松カントリークラブを目標に北上し、現地付近で若干右左折するがほぼ直線、1時間弱で到着する見込みのため、余裕綽々、意気揚々と天竜川を渡り、最初の信号を右折。あとは9キロ道なりまっすぐ・・・。

 3分の1を過ぎたあたりで、大きく左に曲がりだした。北上の道もあったが、こちらが直進ルートのようなので、そのうち北に向かうだろうとそのまま道なりに進んだ。どのくらい過ぎたであろうか、強烈な向かい風の中、一向に北上する見込みもなく、道も徐々に狭くなり、ついには街頭がなくなってしまった!

 周りは畑だらけ、ところどころ小さな工場や民家があるばかり、頼りは前方に自分の存在を知らせるための白色LEDひとつと、たまに通過する車のヘッドライトのみ。

月明かりだけが頼りに・・・

 本当にこの道であっているのかと不安になり、自販機のライトの下バックパックに入れていた地図を見ようと、かばんを開けると、そこにあるはずの地図がない!

 どうやら机の上におきっぱなしにしてきたようだ。仕方なくその道を直進していくと、徐々に道が開けてきた。やっと標識を発見したがそこで私は愕然とした。左に浜松市外、右に天竜、前方は・・・。明らかに西に進んでいる。時間は6時を回ったところ日の出まではまだ1時間ほどあるが、自分が今どこにいるのかわからない。初めての土地、自分と愛車、そして地図はなし。交番に入ろうかと思ったが、ここで自転車を降りたら心が折れてしまうと感じ、天竜方面へ向かうことにした。

 覚えてきたルートから明らかに外れていたため、不安と寒さ、そしてまだまだ暗い道の中、何度も帰ろうと思ったが、帰る道すらわからず進んでゆくと鉄道が見えてきた。この鉄道をたどっていけば何とかなるはず。そう思いペダルを回していくと、ついに覚えてきた道にたどり着いた。

 このままゴルフコースの看板を頼りに行けば到着するはずが、肝心の看板が見当たらない。途中、練習場の看板を見つけたが、欲しいのはコースの看板。まさかとは思い振り返ると、電柱の横に小さくついていた。浜松CCまであと5キロ。時刻は6時半、日の出は6時58分途中の登りを考えても、時間には間に合う!

 6時45分、神社に到着。途中、急激な登りと森林公園内での蛇行や目的地付近の未舗装道路に車輪を取られながらなんとか時間には間に合った。

神社に到着できてよかった!

 勝利を願い、お賽銭をなげ後ろを振り返ると、すでに地平線に雲は残っていたが、そのあたりは赤く染まっていた。地元では恒例となっているのであろうか。すでに沢山の人々が集まっており、談笑を交わしている。

 到着から約10分後、2011年最初の日の出がその御姿をあらわさんとばかりに、その場所をさらに赤く、そこから放射状に流れる光の線を映し出していた。

 まもなく、太陽が顔を出し、2011年初日の出を無事に迎えることができた。太陽は頭を見せてから徐々にその全容が現れ、日の光が一層力強く私たちを照らしてくると、それまでの寒さや辛さを忘れさせてくれ、「新しい一年がんばれよ!」と言ってくれるようであった。

おおっ!元旦の初日の出!

 7時10分、今度は道を間違えることなく無事帰着。若干のくだりであったのだろうか、往路に比べ格段にスピードが増し、御来光観察時に汗が冷えたおかげで、すさまじい寒さとつま先が動かなくなることを感じ取りながらのツーリングであった。

 天竜川から大きな富士を眺めることができ、さすが静岡県と感じ、実はこの橋から日の出が見れたのではないかと思いながら寮到着した。

奥にうっすらと白く見えるのが富士山です。やっぱり感動しますね。

 寮につくと、寮主事さんが「2階からきれいな日の出が見れたで」との話を聞き、寮からでも、天竜川からでもよかったのではないかと思いをはせながら、つま先の感覚が戻るまでシャワーを浴びて、このツアーは終了したのでした。

今回のスタイルです。

 ●今回のツーリングコース

・    コース:ヤマハ発動機豊田寮⇒かぶと塚公園⇒西部運転免許センター⇒田村将軍神社⇒寮

・    所要時間:往路100分+田村将軍神社25分+復路 45分

●目的地での一枚

 

日が出てきて、本当にホッとしました。一時はどうなるかとヒヤヒヤ(笑)

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