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ラグビーヘッドライン

2019年9月 1日(日) 日野選手のフランス研修レポート②

2019年8月24日、日野選手撮影 

 現在、フランスのTop14クラブ、トゥールーズに加入中の日野選手。今回はボルドーとの開幕戦の様子をお伝えします。
(画像:日野選手が撮影した「トゥールーズのチームバス」)

<TOP14 第一節 VSボルドー>
 開幕戦に向けての練習が始まった。
 開幕戦の相手はボルドー。ワインの産地として有名な地域で、トゥールーズから北西にバスで約3時間の場所。試合の3日前からボルドー近郊に入り、ミニ合宿のような練習を行った。これはチームとしては異例のことらしい。
                               
 その合宿にて開幕戦のメンバーが告げられる。渡仏して、わずか2週間。一生懸命、練習やミーティングに参加してきたが本当に自分でいいのか?という気持ちも正直なところあったが、ワールドカップで不在の選手やけが人が続いた緊急事態とはいえ、僕に託してくれたチームに感謝。この機会を大事にし、チャンスを楽しもうという気持ちに切り替えて試合に臨んだ。

 キックオフは夜の8時45分。ここまで遅い時間からの試合は初めてで調整が難しい。試合会場に着くと、すぐにテレビ用の動画撮影などがあり、慣れないことが続く。また、ロッカールームからグラウンドまで歩いて5分もかかることには驚いた(ボルドーのスタジアムが特殊らしい)。

 チームウォーミングアップも初めてで慣れない。さらに会場を埋め尽くす満員のスタジアムの熱気。いつもより息がしにくい気がした。満席のスタンドはボルドーの名産、赤ワインのカラー一色で、ホームチームに大歓声で応援。アウェイチームに対しては時にブーイングもしてくる。これがホーム&アウェイの戦いなのだと身をもって感じた、日本でもこんな雰囲気の中で試合がいつかできたら...。

 試合が始まると、トップリーグともスーパーラグビーとも違う、『これがTOP14』というものを体感できました。
 2mの大男達が1つ1つのセットプレー、コンタクト、ブレイクダウンでの局面でもの凄い強度でプレッシャーをかけてくる。さらに、しつこく反則気味のプレーも勝つために躊躇なくやってくる。

 一方、バックスの選手は小さくて早い選手もいたりして、タックルに入りづらい。総じてオフロード(タックルさせて味方にボールを繋ぐプレー)を狙う意識が高く、甘いタックルをするとどこからでも繋いでくる。

 そんな強度の高い試合で自分自身ミスもあり、満足できる内容ではなかったが、日本人らしい低いプレーが通用する部分もたくさんあって自信にもなった。何より、「もっとできる!」と感じたし、チームの勝利に貢献できなかったことが悔しくて、素直に初キャップを喜べなかった。

 ジャージの腕についている「TOP14CHANPION」のワッペンが付いているチームの一員として、責任を果たせなかった気がした。そんな私とは対照的に他の選手たちは明るく次の試合に向けて切り替えていた。こんなハードな試合が26試合、そしてプレーオフ、さらにヨーロピアンチャンピオンズカップと続くタフなリーグの選手達はさすがだなとそのプロフェッショナルな姿勢が勉強になった。

 試合後はスポンサーや年間チケット購入者などの一部のサポーターを交えてのファンクションパーティーへ。会場は満員で、試合後の熱気そのままにDJが音楽をかけ試合の映像を流しながらお酒を飲んで話したり選手と写真を撮ったりしている。これがほぼ毎試合あるらしく素晴らしい文化だと感じたしこの国のラグビー愛を目の当たりにした。

 ちなみにパーティー後、バスで約3時間かけてトゥールーズに戻りついたのは午前3時過ぎ...。本当にタフなリーグです。
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「ファンクションパーティーの様子」(撮影:日野選手)

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「バスでの移動中。ボルドーのブドウ畑」(撮影:日野選手)

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