2010-2011年度トップリーグ 第11節

＜ラストプレーで逆転、歓喜のホームゲームに＞

　朝からタグラグビーやシェイクハンドプロジェクトなどで賑わうヤマハスタジアム。天候も良く、約5千名の来場者に囲まれて第11節は午後1時にヤマハボールでキックオフ。

　風上に立ったヤマハだったが、開始直後から積極的にアタックを仕掛ける豊田自動織機（以下、織機）にディフェンスが翻弄され、前半2分に先制トライを許す。さらに、前半12分にも織機がトライを決めて12点のリードを奪われる苦しい立ち上がりとなった。

　この苦しい状況を打破したのはスタンドオフの大田尾選手。積極的に前へ出て揺さぶりをかけると、前半16分に反撃の狼煙となるトライを自らあげ、前半22分には、華麗なパスから河本選手のリーグ戦初トライを演出。五郎丸選手のキックも決まり12-12の同点に追いついた。前半32分には五郎丸選手がPGを決めて15-12と3点のリードを奪って前半を終える。

　前半の終了間際に一時退場となったサウ選手が戻れず、後半のスタートを14人で戦うヤマハに対し、織機は風上を利用してウィリアムス選手のキックで相手陣の深い位置に入る。ヤマハが一人少ない状況を見逃さずに2トライを奪い15-26と再び織機が逆転する。

　後半9分、一時退場から戻ったサウ選手が流れを呼び戻す会心のトライを決めると、後半26分には再び河本選手が左隅に飛び込みトライ。27-26と1点のリードと再びヤマハが逆転に成功する。

　1点差のリードのまま残り10分に。ところが後半33分に織機FWが執念のトライ。ゴールも決まり27-33と織機が再び逆転。

　残り2分、今度は故意の反則で織機の選手が一時退場に。「前節にホーンが鳴ってからの攻防で辛い思いをしたことを選手たちは忘れていなかった」（堀川監督談）。ヤマハは集中力を発揮し、豊田織機ゴールラインに迫る。試合終了を告げるホーンがスタジアムに響く。モールで押し込み、ディフェンスを集めたところで、一気にBKに展開。最後はベテランの辻井選手が右中間にトライ、32-33と1点差とする。

　観客が固唾をのんで見守る中、五郎丸選手がコンバージョンゴールを狙う。静まり返るスタジアム、五郎丸選手がボールを蹴った瞬間にサックスブルーの旗がバックスタンド全体を青く染めた。ゴールは見事にクロスバー、34-33でヤマハがホームの大声援に応える劇的な勝利を収めた。ヤマハは勝ち点を25に伸ばし、9位に浮上。貴重な勝ち点5をゲットし自動降格圏内から抜け出した。

　MOMはボールへの嗅覚を発揮し2トライをあげた入団2年目の河本明哲選手が嬉しい初受賞。
（文責：清水良枝）

（写真は2トライを決め、マンオブザマッチを受賞した河本選手）