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Vol.2:井坂俊哉さん

「矢富笑店」の2010年度バージョンです。2010年も矢富選手の軽快でいて、核心を鋭く突くトークをお楽しみください。

続・矢富笑店 Vol.2:井坂俊哉さん

井坂 俊哉 いさか しゅんや

1979年静岡県磐田市出身  株式会社ホットロード所属
2000年にドラマ「アナザヘヴン」で俳優デビュー。2004年~2005年の「幻星神ジャスティライザー」の平賀真也・ライザーガント役で人気急上昇。代表作は「パッチギ! LOVE&PEACE 」、NHK連続テレビ小説「純情きらり」他。
現在も映画や舞台を中心に活躍中。

初の俳優さんとの対談

住民票も磐田の井坂さん

矢富 ● 今日はお忙しいところ、有難うございます。

井坂 ● こちらこそ、このような機会をいただき、有難うございます。

矢富 ● 早速ですけれど、井坂さんは磐田市出身と聞いています。今も東京で仕事をする機会が多いと思いますけれど、磐田市にお住まいなんですか?

井坂 ● はい、東京での仕事がどうしても多いので、年の3分1しかいないですけど、磐田です。事務所からは、仕事の関係で、磐田に住み続けるのは難しいんじゃない?と言われ続けていますが、頑張って3、4年磐田に居ついています(笑)。住民票も磐田です。

矢富 ● 住民票も磐田!? こんなことを言うと磐田市の人々に怒られるかもしれませんが、なんで磐田なんですか?

井坂 ● オーストラリアに留学したり、東京に行ったりして、外に出たことによって、改めて磐田の良さを感じました。それだけではなく、日本の歴史や、日本の良さも改めて実感しましたし、その中で、磐田の良さを痛感してやっぱり磐田がいいなぁと。落ち着くところなんですよ。

矢富 ● 外に出てこそ、わかるってありますよね。自分も磐田に住んで3年なんですけど、少し磐田の良さがわかってきました。

井坂 ● あと、僕は車が昔から好きで、磐田は車がないと生活できませんが、東京もすぐだし大阪も近いから、ドライブ感覚で都心に行くので不便は感じないしですね。ただ、友人からは静岡の高速は長いとよく言われますが(笑)

矢富 ● 長いですよね(笑)自分も東京に行くときに、まだ静岡かぁ~って凹みますもん。

ジュビロサッカースクール時代

留学での様々な体験が自信に

矢富 ● 井坂さんはジュビロサッカースクール出身とか?

井坂 ● はい、ゴールキーパーでした。当時、ジュビロ磐田では森下さん(現在はジュビロ磐田のゴールキーパーコーチ)に憧れていて、今でもカッコいい(笑)。ジュビロにコーチとして戻ってきてくれて、本当に嬉しいです。

矢富 ● サッカーをやっていて良かったと思うことって何ですか?

井坂 ● オーストラリアに留学した時も、「どこから来た?」と聞かれるたびに、「ジュビロ磐田の磐田からやってきた」と答えていました。その所属していたクラブがイタリア系のクラブで、当時、ジュビロ磐田にはスキラッチがいたので、みんなに「スキラッチがいるジュビロ磐田だ」と言うだけで、すぐに溶け込めました。僕にとって、サッカーはあらゆる場面での突破口なんですよ。

矢富 ● 英語は大丈夫でした?

井坂 ● 中学での英語の成績は1でした(笑)。高校に上がるときに、ジュビロユースから上に上がれなくてジュビロ磐田の道が絶たれて、そんな時に父親が「いろんなものを見て来い」と薦めてくれたのが、きっかけです。自分は郷に従えって性格なんですかね、サッカーを突破口に、勉強していない分を、聞いて、体験して、とにかく覚えてと、体験することで身に付けていった感じです。この経験も大きかった。これからの人生で何とかなる! という自信をつけたのは、今思えばこのオーストラリアでの体験があってこそですね。父親には苦労をかけましたが、本当に感謝しています。

矢富 ● ええお父さんですねぇ! 世界を見て来い! カッコいいお父さん!

俳優業について

“夢”を与えられる仕事として、
俳優を選んだ井坂さん

矢富 ● デビューのきっかけってなんですか? というよりも、なんでサッカー選手を目指していたのが、俳優になったのですか?

井坂 ● サッカーばかりの学生時代だったので、オーストラリアから帰国して、何もやることがなくなってしまい…。袋井のコンビニでバイトしたり、車が好きなので、ガソリンスタンドで働いたり、工場勤めもしてみたり…。でも「何か違う、俺がやりたいことは、これではない」という気持ちがあって、そのなかで、今の所属事務所から声がかかりました。

矢富 ● えっ、井坂さんがコンビニでバイトの過去!

井坂 ● いろいろ経験したことは間違いなくプラスですよ。自分の中で、サッカーで夢をもらってきたので、人に夢を与えたいという気持ちが明確になりました。ジュビロ磐田の森下さんのように、夢を与えたいと。だから、矢富さんがラグビーのアスリートとして、プレーを続けていることが、僕には羨ましい。

矢富 ● 確かに、有難いことです。

井坂 ● 事務所の社長と面接した時に「夢を与えることができる仕事ですか?」と聞くと、社長が「それは、あなた次第です」と。それを聞いて「そうか、俳優の仕事でも人に夢を与えられるんだ! 夢を与えたい!」と、この道に入ることを決めました。

矢富 ● 出会いって大切ですね。本当にいろいろな人から話を聞けば聞くほどそう思いますよ。俳優さんってたくさんいると思うんですけど、井坂さんは俳優になりたかって、なったとかじゃなく、自分の中で夢を与えられる仕事が俳優だったって感じですね。多分俳優さんの中には俳優になりたくてなった人が多いと思うんですよ。

井坂 ● そうだね。同じ事務所の健太(同事務所の桐谷健太氏)はまさしくそうで。健太は小さい時からお芝居の稽古とかをしてきたし、そういった意味では俳優に対する価値観みたいなのは違うかもしれないけど、夢を与えるということでは一緒だからね。

矢富 ● なるほど。自分も夢を与えられるようにならないといけませんね。

俳優業の難しさとは?

色んな役になれるのが楽しい

矢富 ● 俳優って、やっぱり気をつけなアカンことがいっぱいあるんちゃうかと?

井坂 ● ありますよ。いまだって、ウェイトレスさんのコーヒーの入れ方を観察したり、人間観察は日頃から意識してやっていて、俳優は人を真似る仕事だから観察は意識してるかな。常に全体を見るように心がけています。

矢富 ● 普段から意識することって意外と沢山ありそうですね。勉強になります。他にありますか?

井坂 ● ヒーローものに出演させていただいた時、23歳ごろだったのですが、タバコを吸っていました。子供たちの夢を壊してはいけないと思い、人前でタバコを吸うことには気を使いました。それから、町で子供たちから「変身して!」とお願いされた時は大変でした(笑)。

矢富 ● どうやって対応を? これ、めっちゃ、難しい(笑)。だって、子供たちからしたら、ホンマに変身できると思ってますもんね。

井坂 ● 子供たちに、「今は、悪いヤツはいないよね、だから変身する必要はないんだよ」と笑顔で答えて(笑)。

矢富 ● うまい! それは、うまいわ! でも、俳優業は厳しい世界ですよね? 涙を流すとか、太るとか痩せるとか…。

井坂 ● 大変なこともありますが、いろんな人になれることは楽しいことです。ダイバーの役をもらったら、ダイバーのおなかがプヨプヨしているわけないよなぁと、痩せて、腹筋をつけてと、しぼったり。その人になっていくのが楽しいんですよ。楽しいから、苦しいとは思いません。

矢富 ● そうですよね。好きだからやる。痛いラグビーも、好きだからやっている(笑)。

井坂 ● あと、涙を流すのも技術の1つで。凄い人は涙を流す方向であったりとか自在に操る人もいるし、僕は小さい頃から男は涙を流すものじゃないと教育されたから、涙を流す技術は苦手で、いまの課題なんだよね。

矢富 ● 涙を流すのが自在に操れるとか、凄いとしか言いようがありませんね(笑)俳優さんって物凄く奥が深い仕事なんですね。

磐田市民が『パッチギ』でバリバリの関西弁に

映画の撮影で体重が6kg減!!

矢富 ● 映画『パッチギ』を観させていただきましたが、凄まじい内容で。

井坂 ● 映画の内容も激しいものですが、僕にとって大変だったのは、井筒監督からは完璧な関西弁を話せ! と言われたこと。磐田で生まれ育った僕が関西弁、これは外国語のような感覚です。でも、「そうか英語を学ぶことと同じだ」と気がつき、この時もオーストラリアでの経験が活きました。英語での生活環境を、そのまま関西弁の生活環境にしてしまおうと。テレビもDVDで関西弁のものを流しつづけ、関西弁の友人に協力してもらい、常に一緒にいてもらったり、飲みに行って関西弁を使いつづけたり(笑)。

矢富 ● 考え方を少し変えてみるっていうのは凄く良いことですね。参考にします(笑)。井坂さんと知合っていなかったら、『パッチギ』も、そのまま流して観てしまいそうですが、改めて見ると、映画の最初と最後では、井坂さんの顔が全然違う。それほど撮影がハードやったんですか?

井坂 ● アンソンという役だったのですが、彼自身が悩み、苦悩する。井筒監督のリアリティを求める高い要求に、僕も苦しみました。今思うと、井筒監督は、僕を追い詰めることで、井筒監督が求めるアンソンに仕立て上げていったのかなと。体重も6キロくらい減っていました。

矢富 ● す、すごいです。僕やったら、無理です…。でも、だからこそ見ていて井坂さんが本当の在日の方に見えたんだと思います。読者のみなさん是非『パッチギ』をみてください。面白いです!

俳優とスポーツ選手の共通点

矢富 ● 僕らスポーツ選手は、自分の特徴を活かしながらも、最後に試合の出場メンバーを選ぶのは監督やないですか。それって、俳優さんにも似ているんちゃうかと思うのですが。

井坂 ● 僕は俳優は監督の“おもちゃ”でなければならない、と思っています。まず、自分のできる演技をする。その上で、監督が求めるものに調整していく。

矢富 ● なるほど。そこでもサッカーの経験が活きますか?

井坂 ● 活きますね。キーパーとしての動きを自分のできるプレーでする。しかし、試合全体の構成は監督が考えること。キーパーが考えることではない。でも、監督が求めるものに対し、自分はこうしたい、という議論はしますね。

矢富 ● そこが難しいところですよね。監督の求めるものに近づけなくてはならないけれど、自分の持ち味を消してしまって良いのだろうかと…僕もいろんな監督と出会ってきましたが、本当に難しいところだと思っています。監督の考えありきで、変に自分が縮こまりたくない気持ちもありますし。

井坂 ● ディスカッションでしょうね。議論しないで「はいはい、わかりました」では、自分が面白くないですよね。自分なりの考えを伝えないと。ぶつかることも、より良い仕事をするためには必要だと思います。自分の芯というか、そこについてはしっかりと話し合うべきだと思います。

矢富 ● ぶつかることを恐れてはいけないということですね。

井坂 ● そう。話をしないと気持ちは伝わらないし、いい演技をしたいとか、いい物を作りたいと思うなら必ず話すべきだね。もちろんラグビーも一緒。

井坂さんの話に真剣に聞き入る矢富選手

ファンにやさしい井坂さん

矢富 ● 調べてみたのですが、井坂さんはファンにとても優しい方だと。ファンレターを出した方に、お手紙ありがとうございます。と丁寧に返事なされていたり、受験生の子が送ったんですかね? プロマイドも封入されていて、裏には受験頑張ってと書いてあったとりと凄くファンを大切にしてると思いました。

井坂 ● ずっとサッカーをやっていて、ファンの立場がわかるからです。森下さんに握手してほしくて、握手してもらったら嬉しくて。その立場がわかるから、戴いたファンレターは1通1通、手書きで返事を書くようにしています。

矢富 ● 1通1通、手書き!?

井坂 ● 結局、僕たちの仕事は観てくれる人がいないと成立しない世界なのです。観てくださる方がいるから、仕事がある。ですから、ファンが一番大切です。

矢富 ● 素晴らしいです。僕も真似します(笑)。ですので、読者のみなさん! どしどしファンレターお願いします(笑)。

磐田を盛り上げよう!

「磐田LOVE」宣言! 矢富選手

矢富 ● 僕たちもラグビーで磐田や静岡県を盛り上げていこうと考えているのですが、なかなか実現は難しくて。ヤマハスタジアムも満員にはなりません。何か良いアイデアはありませんか?

井坂 ● 自分も、そこはテーマです。地元のために何ができるのか? 自分の基本は、地元あってこそ。ですから、地元での仕事の依頼は受けれるだけ全部受ける覚悟でいるし、今回の『矢富笑店』のお話があった時は、すごく嬉しかったし、この対談から、少しでも多くの人に「ああ、アイツも磐田出身か」と思ってくれたらといいと思う。矢富さんの場合は、まずは勝つことかな? それから、愛されるためには愛することですね。

矢富 ● そうですよね、まずはホームでスッキリ勝たないと! ファンに愛されるためには、まず強くて、勝つチームでないと。頑張ります! そして愛します。磐田LOVE(笑)。

井坂 ● ヤマハスタジアムでスッキリと勝つ試合が観たいなぁ!

矢富 ● 頑張ります。

舞台について!

ゲストに関する情報収集は入念に

矢富 ● 井坂さんを調べているときに、6月ぐらいに舞台があると書いてあったんですが。少しその話を聞かせてもらっていいですか?

井坂 ● そう。6月から舞台があって、もう台本を読み始めているんだけど。原作は、木原音瀬さんの「美しいこと」っていう少女マンガで、ボーイズラブの話。

矢富 ● ボーイズラブっすか? なんか凄い話ですね。奥が深そうで面白そうです。なるほど! 日時、場所を教えてもらっていいですか?

井坂 ● 場所は、東京新宿のSPACE「107」日時は、2010年 6月15~20日が午後2時と午後7時の2回公演です。ただし、15日と16日の2日間は午後7時の1回公演です。
舞台「美しいこと」の公式ホームページもあるので、是非、ご覧ください。よろしくお願いします。

【「美しいこと」公式サイト】
http://www.birdlandmusic.co.jp/utsukushiikoto/

対談を終えて井坂さんの一言

今日は素晴らしい機会を有難うございました。こうして矢富選手と共に、地元を盛り上げることが今後も出来たら幸いです。
今回、この話をいただいた時に、事務所へは「磐田での企画なので、是非、やらせてほしい」と即、お願いしました。僕もアスリートを目指していた時期があったので、矢富選手がスポーツを通じて、子供たちに夢を与えていることが本当に羨ましく、長く現役選手として頑張ってもらいたいと思います。僕も俳優という職業で、夢を与えられるように頑張ります。
矢富さん、今度は呑みに行きましょう!そして、これからも僕と矢富さんの応援よろしくお願いします。

一緒に写真に写るのが嫌になる(笑)・・・と矢富選手

矢富選手の独り言

今回は初めての俳優さんとの対談で、緊張しました。緊張のせいで全くもってツッコムことが出来ない自分…。まだまだですね。
井坂さんは本当に見た目と同じ、さわやかな人で、なんといってもイケメン! 俺も負けていないぐらいのイケテル人…ってなんでやねん、とここで、ツッコミたくなるぐらいのイケメンなんですよ(笑)。それでいて、すごくいい人でした。いい所をあげるとキリがないぐらいですね。
一緒に写真に写るのが嫌になる(笑)。と言いつつも、対談後にはしっかりと僕の家族とも撮影してしまいました(笑)。オフには井坂さんの舞台を拝見に行きます。これからもお体を大切に、お仕事頑張ってください!

 

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