2009-2010トップリーグを第9位で終えたヤマハ発動機ジュビロは、5位から10位のチームがエントリーする日本選手権出場決定戦、ワイルドカードトーナメントに回った。対戦相手は8位のコカ・コーラウエストレッドスパークス。リーグ戦ではヤマハが32-13でコーラに快勝している相手が初戦の対戦相手となった。
試合前のインタビューにてシューラー監督は「リーグ戦で勝っている相手でも、トーナメントは別。11月から時間も経っているので、お互いに違うチームに成長しているはず」と警戒心を解かない姿勢で大阪の近鉄花園ラグビーに臨んだ。
コーラは日本代表のウェブ選手を前回のフルバックの位置からスタンドオフの前線に上げる布陣。対するヤマハは大田尾選手の負傷により、入団3年目の越村選手がスタンドオフとして初先発。シューラー監督の言葉どおり、リーグ戦とは全く違う雰囲気の中、正午きっかりに試合が開始された。
先制したのはコーラ。ウェブ選手が落ち着いてペナルティーゴールを決める。その直後にヤマハは五郎丸選手がペナルティーゴールを狙うが失敗。続けてコーラFWがヤマハ陣に攻め入り、モールを押しこむ。そのボールをウェブ選手が持ち込み、トライ。0-8とリードを広げる。
ヤマハの初得点は前半27分。ゴールポストほぼ正面の位置を五郎丸選手がしっかりとペナルティーゴールを決め、3-8と追いすがる。しかし、その後もコーラFWが激しいディフェンスでヤマハのチャンスを摘み取り、チャンスメーカーの矢富選手を自由に走らせない。前半30分にコーラは好調のウェブ選手が40m近い距離のペナルティーゴールを狙い、成功。3-11で前半終了のホーンが鳴る。
ヤマハの課題は立ち上がり-。注目の後半の立ち上がりに勢いに乗ったのはコーラ。わずか1分の早業で原留選手がヤマハゴールの右隅に飛び込んだ。ゴールも成功し、3-18。その直後のキックオフからのボールもしっかりと確保すると、コーラのスクラムハーフ香月選手が素早く展開し、福田選手のトライを引き出し、さらにウェブ選手のゴールも決まり、あっという間に3-25に。
スタンドからのジュビロコールも小さくなっていく。そのムードに牙を向いたのはウイングの中園選手。7人制日本代表のコーラ築城選手がパスしたボールをインターセプトすると、一気にコーラのインゴール中央に駆け込んだ。五郎丸選手のゴールも成功し、10-25と15点差まで戻す。「形はどうであれ、流れを変えたかったので・・・」と中園選手が気を吐いたが、その後もコーラのディフェンス網を崩すような有効なアタックが展開できない時間が続いた。
ヤマハベンチが動く。矢富選手から岡選手に、辻井選手から徐選手、ダンカン選手からソーン選手、高木選手から朴選手が投入され、状況を打開に出る。しかし、コーラはさらに1つのペナルティーゴールを追加し、10-28と、18点差のセーフティーリードを得る。花園ラグビー場の電光板は残り20分を伝えていた。
最後のリズムチェンジとばかりに越村選手から中島選手、石神選手から八木下選手に入替。ラインアウトからのボールをヤマハFWがモールを組んで押し込み、コーラの反則を誘う。ようやくコーラのディフェンス網に穴を開け、岡選手が素早くポスト右に意地のトライ。時間をかけずに五郎丸選手がすぐにゴールを蹴りこみ、15-28の13点差、ラスト5分のミラクルに賭ける。
ヤマハ陣22mライン付近のスクラム。レヴィ選手がスタンドオフの位置に入り、コーラのディフェンスを引きつけて、ギリギリのタイミングで柔らかくボールを蹴る。その瞬間にタッチライン際から中園選手がトップスピードで走りこむ。宙に浮くボールと走りこむ中園選手に会場にいる全ての目が集まる。「あの時間帯では、何かをしないとトライは取れない。そこを狙ったのですが・・・」と中園選手がこのシーンを悔やむ。ボールは惜しくも中園選手の両手からこぼれ、勝利の女神がコーラに微笑んだ。最後は試合終了のホーンが鳴るなかで、ウェブ選手がドロップゴールを決めてノーサイド。17-31、ヤマハ発動機ジュビロの今シーズンが終了した。
☆シューラー監督「悔しい。残念です。後半のスタートで2つ取られたのが大きかった。ラックが取れなかったこと、相手陣に入れなかったこと、ボールキープができなかったこと、この3つがキーポイントだった。ヤマハのファン、家族、会社の人たちのためにもっといいプレーをしたかった。今シーズンもこれで終わりで残念。今年はBチームのメンバーも全員で汗をかいて頑張ってくれた。しかし、ヤマハはこれからやり直しいてほしい」
☆山村選手「こんなに早くシーズンが終わってしまい、残念です。選手たちは一戦一戦に向けて集中して練習してくれましたが、このような結果になり、本当に残念です。ブレイクダウンで受けてしまい、ヤマハらしいプレーが出来ませんでした。最後になりますが、この場を借りて、今シーズン応援してくださった方々に御礼申し上げます。有難うございました」