前節はサントリーから8トライをホームで許す屈辱を味わったヤマハ発動機ジュビロ。
矢富選手、石神選手そしてトゥイアリイ選手など主力が体調不良から戦線離脱の厳しい状況に追い込まれたが、「修正点がある方が良い練習ができる」(五郎丸選手)と、選手たちは首位との対戦を前に激しい練習を繰り返して太田市へ乗り込んだ。
2009年最後の土曜日の午後は年末とは思えないほど気温も暖かく、ほぼ無風と絶好のコンディション。2シーズン前に比べて改善された芝生が眩しい太陽に照らされたなか、大田尾選手のキックオフで第12節は幕を開けた。「ヤマハのキックが多い試合で波に乗れなかった」と三洋電機の飯島監督が会見の冒頭で述べるほど、開始から大田尾選手が積極的にキックを使って敵陣でゲームを進めようとする展開に。一方、三洋電機もFB田邊選手がミスなくボールをキャッチし、隙をついては三宅選手らを使い、カウンターを仕掛け、地域を取り戻す。
ゲームが動いたはの前半16分。中央付近のヤマハボールのスクラムを押され、三洋電機ボールのスクラムとしてプレーが再開される。そのスクラムからの攻撃を起点に最後は三洋電機・SH高安選手が中央にトライを決め、得点王を狙う田邊選手が落ち着いてコンバージョンゴールをクロスバー。首位の意地を地元の太田市で見せる。0-10とじわじわとリードが広がる雰囲気に包まれる。しかし、前半21分、大田尾選手のキックを有効に使い、三洋電機陣に入る。三洋電機のラインアウトを奪うと、パスの名手、レビィ選手が相手をひきつけて松下選手のトライをアシスト。5-10に点差を縮めた。
その後もヤマハFWがラックを連取するも、三洋電機自慢のディフェンス網を破ることが出来ず、前半26分、ヤマハの反則から三洋電機ブラウン選手が素早くボールを深く蹴りこみ、そのボールを田邊選手が押さえてトライ。さらに前半終了間際にも三洋電機FWがヤマハゴールを襲い、ブラック選手が押さえてトライ。前半を8-22で終える。
前半に3トライを許す内容から。前節の大敗が再来...と思われた後半、「点差で精神的に切れないような展開に持っていこうとした」と大田尾選手が語るように、三洋電機のスクラムを少なくする展開に持ち込む。ヤマハは佐藤選手や笠原選手が果敢に突進を繰り返し、ボールを奪われてはソーン選手やトーマス選手らが激しいタックルを連発。三洋電機も攻め手を変え、田邊選手のPGで点差を開いていく戦法に出る。
ヤマハは小林選手、岡選手、マッコイド選手を投入。そして後半24分、スクラムの劣勢を払拭すべく山村選手がピッチに立つ。安定し始めたスクラムから反撃の糸口を見つけ、後半31分にセンターの中垣選手が中央を突破し、トライ。五郎丸選手がゴールを決めて15-28と13点差。2トライ2ゴールで逆転できる点差にまで食い下がる。
しかし、第11節まで1試合あたりの平均失点が13点の三洋電機。高い集中力を発揮し、後半37分に途中出場のフッカー山本選手のトライで突き放すと、最後は新人の大澤選手がトライを決め、15-42で太田市不敗神話を確固たるものにした。
最後の最後で力尽きたヤマハ発動機ジュビロだったが、「まだまだ自分たちが成長できることを知ることができた良い試合でした。プレーオフ進出がなくなりましたが、日本選手権に向けて気持ちを切り替えていきます。春に、このチームで日本一を誓い合いました。それが出来るメンバーです」と、試合後にゲームキャプテンを務めた大田尾選手がきっぱりとコメントした。シューラー監督も「本当に素晴らしいファイトができた試合。最後まで選手たちは頑張ったと思います。日本選手権に向けて、雰囲気と体をしっかりと作っていきます」と笑顔で記者会見場を後にした。ヤマハのベストゲームは、まだまだこれからだと予感させる第12節となった。